断片的な紙片 1

暗の国郊外…とある広場にて…
「母さん…?」
少年が急に静かになった母親に向き直った。
「母さん?」
そこには少年が思うようないつもの母親ではなくおかしな格好の母親がいたのだった。
「お…おかあさぁぁぁぁぁん!!」
そして大きな柱によってなんとかへばりついていた母親の首が…身体がどこにも見あたらなくなった母親の首が…鈍い音と共に落ちた。


…暗の国の郊外の某所…

若い娘が踊っていた。

一人で踊っていた。

月明かりの照らす中で薄い髪色が際立って見える。

娘は一歩踏み出す。それは物思いにふけっていた重い腰を上げるようにゆっくりと…それで確固たる意志があるようにしっかりとした動きで一歩踏み出した。

そして弦楽器を『らん♪』と鳴らした。

その音色は何もない静かな夜に軽やかに響いた。

娘の目元から一滴の雫が流れ落ちたのは気のせいだったのだろうか?


…漠の国のとある研究所…

「あら〜。久しぶりね〜戯遊詩人さん。今日はどんなご用件?」
濃い茶色の髪をした女が薄い色の髪をした娘に話しかけた。
「いやー…なんとなく来ただけですが…。」
髪色の薄い娘は少し顔を曇らして答えた。
それを見て濃い茶髪の女が眼鏡をキラリと光らせて娘をみた。
「よ〜し!!お姉さんが話に乗ろうじゃないの♪爽示ちゃん♪」
にこやかな顔を浮かべながら茶髪の女は宣言したのだった。

…緋の村の村長の部屋…

「いやぁ〜清原ンとこの娘さんだったかぁ〜。いゃ〜べっぴんさんになったモンやなぁ〜…で、用件って何や?うちで出来る範囲のことやったらなんでもやるからな♪」
聡明且つ軽快な眼を持つ青年が薄い髪色の娘に言った。

「でお願いしたいのは某…」
夜はどんどん更けていくー…。

大きな剣を創り出す断罪の巫女は今日も明日も旅をする…

今日も明日も明後日も…彼女は何を思い何を断罪するのか…それは神のみぞ知る…

=end=
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聖剣の巫女、断罪の巫女のこと爽示さんの旅の話です。
形式は断片。
とある日のとある場所でのとある話を断片として書いていきたいと思います。