神々の戦い〜戦神の場合〜

私は戦神。
 闇界に於いて戦いの化神とまで言われ、神域まで達した男だ。
 しかし闇界に於いて神と言うのは只の尊ばれる者であって一つの人以外の何者でもない。


 そして現在…私はR.Wの金神を討伐する命[めい]を受けこのR.Wのとある山の麓へと来た。
 その麓には鬱蒼と生い茂った森があり、私は警戒しつつ…頂[いただき]に金神の社[やしろ]があると聞いているので仕方が無いのだが…森へと踏み込んだ。
 しかし…この森というのは…海と呼べる程広く…そして深かった。これ程規模の大きな森はD.Wには無かった。
 ある程度行くと開けた所に出た。そこは山への入り口と言うわけではなく四方を森に囲まれた広場だった。焚き木の跡は無く、地から生える草が此処はしばらく人が来ていないことを教えてくれる。私は出来るだけ早く金神を倒滅することだけを考え、歩みを早めた。
 しばらく歩いていると、また開けた場所に出た。さっき視た場所に酷似しては居るが、私の通った跡は無く別の場所の様だ。私は出来るだけ早く金神を倒滅することだけを考え、歩みを早めた。
 しばらく歩いていると…また同じ様な広場があった。先程からデジャビュを感じる気もするのだが私は出来るだけ早く金神を倒滅することだけを考え、歩みを早めた。
 そうしてしばらく歩いていると…山小屋が見えた。山小屋の前には机と二つの椅子、そしてお茶を飲む女性が居た。
「あらあら?旅人さんですか?道に迷ったご様子ですが…大丈夫でしょうか?」
 その女性は私を旅人だと誤認したらしく、そう聞いた。私は一般の民は特例を除いて殺すなとの条件であったので旅人を装う事にして、彼女に山に登る為の道を聞いた。
 彼女は「あらあら。とても疲れたご様子で…私の茶会にご一緒しませんか?」と、私を気遣ってか茶会に誘ってきたので私は小休止を入れることにした。


 しばらく二人でお茶と話を交わした後…私は元の任務に戻るため、席を立とうとしたが…彼女に「どこに行かれるのですか?」と聞かれて答えることが出来なかった。
 私は何をしに此処まで来たのか、何のために此処に来たのか、何で此処に来たのかが思い出せなくなっていた。
「あらあら…。それなら、思い出すまで此処で私とお茶するのはどうでしょうか?」と彼女が提案したので私はそうすることにした。


 しばらくして…わたしは任務に行く…『任務』は何だったのだろうか…あ…それより私は誰だ?先程から目の前に居る彼女は…誰だったか…。私は何も思い出せなくなっていた。
 私は試しに彼女に私のことを聞いてみる事にした。
「あらあら…忘れてしまったのですか?貴方はこの『永遠の森』の木こりよ。そして私は貴方の妻じゃないの。」
彼女がそう答えた。
あー…そうだった気もする。この背中に背負っている沢山の武器は木を切るための武器だったっけ…。

私は木こり。この森での生活は気に入っている。

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 はいはい〜木神のことフォス[Fos]です。
 今回の物語では戦闘能力ではこちらのどの神をも上回る戦神さんがこちらの最も防御能力の高い金神を倒し損ねて挙げ句の果てには木こりになってしまうという話でした。
 元々戦いが全てじゃありません。というか一般市民の認識が甘いですのね…戦神様は…。まぁ、元々私の『永遠の森』に入った敵は何であろうと死ぬまで逃がす気は無いわよ。

だから今回は『あらあら〜』っと言ってる間に完全に要らない記憶が抜ける訳なのよ。
ちなみに『永遠の森』は私によって自由自在に変化させることが出来るので、誰でも迷うことこの上なしな訳で…。
まぁ、今回の教訓は『戦闘だけで勝ち負けが決まる訳じゃない』でどうでしょうか?

あらあら〜もぅこんな長さになってしまった様なので…Fosの解説でした。